症状が増え、薬も増えていく——。
その背景に、見落とされているつながりがあるかもしれません。
当院の統合診療がどのように「全体像」を見るのか、
実際の症例をもとにわかりやすくご紹介します。
高齢になると、複数の症状が同時に現れることがあります。
一つひとつに薬を追加していくと、
今度は副作用が新たな症状として現れる——
そんな連鎖に陥ることがあります。
統合解析では、「今出ている症状」だけではなく、これまでの投薬歴・症状が出始めた時期・薬剤変更との関連・血液検査推移・身体の使い方・筋肉や神経の状態・栄養状態・東洋医学的なバランスなどを総合的に確認し、"なぜその症状が起きているのか"を全体像として解析していきます。
症例01では、最初は関節の問題だけに見えました。しかし、投薬の積み重ねの中で、別の症状が次々と現れていきました。
よくあるパターン — 症状と薬が増えていく
Step 1
慢性的な関節炎長年、鎮痛薬を使用
Step 2
関節炎治療の注射を追加月1回投与。当初は少し改善した印象も
Step 3
後肢のふらつき・踏ん張り低下・失禁これまでとは異なる新しい症状が出現
Step 4
失禁に対してホルモン製剤を追加改善乏しく、増量
Step 5
白血球を含む血球数低下・全身状態悪化症状同士が独立しているように見えても、実は連鎖している可能性
統合解析のアプローチ — 全体像から見直す
Analyze
症状出現時期・投薬歴・薬剤変更後の変化・血液検査推移を総合確認
Support
鍼灸で身体の緊張・可動性・疼痛負担を軽減漢方・ホモトキシコロジーで全身の回復をサポート
Recover
急激な断薬は避け、状態を確認しながら慎重に減薬結果:ホルモン薬なしでも失禁安定、散歩も楽しめるまで回復
Case Study Vol. 01
Background
若い頃から慢性的な関節炎があり、長年鎮痛薬を使用していました。症状悪化に伴い、月1回投与する関節炎治療の注射を開始。当初は少し良くなった印象はあったものの、劇的改善は感じられず、継続投与されていました。
Turning Point
失禁に対してはホルモン製剤が処方されましたが、改善乏しく増量。その後、血液検査で白血球を含む血球数低下が進行し、全身状態も悪化。心配されたご家族がセカンドオピニオンとして来院されました。
Integrative Analysis
以下を総合的に確認した結果、症状同士が独立しているのではなく、薬剤影響も含めて連鎖している可能性が考えられました。
Treatment
まずは、身体の緊張や可動性低下、疼痛負担を軽減する目的で鍼灸治療を実施。さらに、漢方・ホモトキシコロジーを併用し、身体全体の回復をサポートしました。急激な断薬は避け、状態を確認しながら慎重に減薬を進めました。
現在はホルモン薬なしでも失禁は安定し、散歩も楽しめるまで回復しています。
Case Study Vol. 02
「身体に良いと思って続けていたもの」が、体質に合っていなかったケース
Background
脱毛が続き、これまでさまざまなお薬を試してきたものの、大きな改善はみられませんでした。少しでも身体に良いものをと、サプリメントや漢方配合フードなども取り入れていました。
Turning Point
抗てんかん薬も処方されましたが、症状は安定せず、さらに肝臓の数値も上昇。セカンドオピニオンとして来院されました。
Integrative Analysis
時間経過に沿って、以下を詳しく確認。東洋医学的な体質評価も行いました。
Eastern Medicine Constitution
陰虚体質(いんきょたいしつ)
身体の潤いを保つ力が弱く、熱がこもりやすいタイプです。陰(潤い)が不足すると、次のような"熱"の症状が出やすくなります。
食事内容を確認すると、使用されていたサプリメントや漢方入りフードに含まれる食材・生薬の多くが、"温性""熱性"と呼ばれる身体を温める作用の強いものばかりでした。そのため、この子の体質では"熱"をさらに助長していた可能性が考えられました。
Treatment
抗てんかん薬も慎重に調整しながら少しずつ減薬していきました。
興奮しやすさ・パンティング・けいれん発作の頻度が徐々に減少。現在は、抗てんかん薬を使用せずに安定して過ごせています。
東洋医学では、「身体に良いもの」かどうかだけでなく、"今の体質に合っているか"を重視します。同じ食材や漢方でも、体質によって合う場合と負担になる場合があり、症状の背景を整理しながら全体を調整していくことで、改善につながることがあります。
Case Study Vol. 03
「手術しかないと言われたけれど、他に方法はありませんか?」
鍼灸・整体
Background
膝蓋骨脱臼(パテラ)で他院を受診し、G4と診断。早急な手術を勧められ、不安を感じてセカンドオピニオンとして来院されました。
Assessment
脱臼直後はほとんど足をつけない状態でしたが、来院時には弱々しくも歩行は可能でした。ただし、患肢をかばうことで体のバランスが崩れ、脊椎や体幹にも負担が広がっていました。
Treatment
翌週の再診では、院内を元気に走り回れるまでに改善。現在は定期的なメインテナンス施術を継続しながら、ご自宅での管理方法や再発予防のケアも含めてサポートしています。
膝蓋骨脱臼=必ず手術、というわけではありません。もちろん状態によっては外科が必要なケースもありますが、年齢・症状・生活環境・筋肉や体幹の状態などを含めて評価することで、別の選択肢が見えてくる場合もあります。
Case Study Vol. 04
繰り返す皮膚炎の背景に、ミネラル代謝と腸内環境があったケース
Background
子犬の頃から皮膚炎を繰り返し、そのたびに抗生剤・ステロイド剤・抗菌薬シャンプーで治療を続けてきました。途中からはステロイド剤の代わりに抗アレルギー剤も使用されていましたが、徐々に改善しづらくなり、再発までの期間も短縮していきました。
Turning Point
皮膚科専門医では高用量の免疫抑制剤が処方されていましたが、その後の血液検査で免疫抑制傾向、低タンパク、肝酵素上昇などがみられ、食欲低下も含め全身状態の悪化が問題となっていました。
Integrative Analysis
これまでの血液検査、投薬歴、食事内容を確認したうえで、当院ではミネラル検査と糞便検査を追加で実施しました。
Why Mineral Testing?
血液検査は採血時点の状態を反映しますが、ミネラル検査では数ヶ月単位での栄養状態や代謝バランスを把握しやすい特徴があります。
検査の結果、亜鉛欠乏、鉄過剰、その他複数のミネラルバランス異常が確認されました。また糞便検査では、カビや悪玉菌の増加など腸内環境の悪化も認められました。
さらに、血液検査では甲状腺ホルモン値もグレーゾーンで推移しており、典型的な「甲状腺機能低下症」とまではいかないものの、長期にわたる慢性炎症や皮膚トラブルによる消耗状態が疑われました。
Eastern Medicine Assessment
陰虚・気虚 — 慢性的な消耗
東洋医学的には、慢性的な消耗による「陰虚」「気虚」の状態が強くみられ、皮膚だけではなく、身体全体の回復力そのものが低下している印象でした。
また、脱毛部位には強い色素沈着もみられ、東洋医学では「瘀血(おけつ)」と呼ばれる状態が考えられました。わかりやすく言えば、血流が滞りやすく、老廃物が溜まりやすい状態です。
Treatment
経過の中で、免疫抑制剤の使用量を減らすことができ、肝臓の数値も改善。皮膚症状だけでなく、全体的な体調の安定につながりました。
なお、親犬も同様の皮膚症状を繰り返し、最終的に肝障害を伴って亡くなっていたとのことで、ミネラル代謝や解毒機能に関わる体質的・遺伝的背景が存在していた可能性も考えられました。
Case Study Vol. 05
繰り返す皮膚トラブルと、見落とされやすい"内側"の変化
Background
子犬のころから、かゆみや発疹を繰り返しており、抗アレルギー薬を約3年間継続して服用していました。
Turning Point
その後、下痢が続くようになり、徐々に体重も減少。「このまま薬を続けて大丈夫なのか」「他にできることはないか」と、セカンドオピニオンで来院されました。
Integrative Analysis
過去の血液検査を確認すると、血中タンパクが少しずつ低下しており、白血球数もかなり低い状態でした。これまでタンパク低下について詳しい説明は受けていなかったとのことでしたが、下痢や体重減少、免疫低下とも関係している可能性があるため、当院では身体全体の状態を見直す方針をご提案しました。
Treatment
Note
抗アレルギー薬そのものを否定しているわけではありません。強いかゆみを抑えるために、一時的に使用することで助けられるケースも多くあります。
ただし、製薬会社側も長期連続使用には慎重な姿勢を示しており、免疫抑制、タンパク漏出、感染リスクなどの副作用が知られています。海外でも、必要な場合は定期的な血液検査を行いながら、継続の可否を慎重に判断することが一般的です。
また、これらの免疫に関わる薬剤は、長期使用によって腫瘍リスクとの関連が指摘されているものもあります。
皮膚だけを見るのではなく、「なぜ繰り返すのか」「身体の内側で何が起きているのか」まで含めて考えることで、治療の選択肢は広がることがあります。
健康寿命をより長く保つために、お薬だけに頼るのではなく、身体の土台から整えていく方法も、ひとつの選択肢として考えてみてください。
Case Study Vol. 06
「急に立てなくなった」— 頸椎と経絡の流れから見たケース
鍼灸・整体
Arrival
14歳のヨークシャーテリアが、「急に立てなくなった」とのことで来院されました。
Assessment
来院時は四肢にほとんど力が入らず、自力で立つことができない状態でした。神経反射もかなり低下しており、特に前肢の反応が弱く、首をすくめるような独特の姿勢もみられました。
高齢で突然の発症だったため、一過性の脳梗塞や発作なども鑑別に挙がる状態でしたが、触診では頸椎の位置にずれがあり、耳の高さや位置にも左右差が強く出ていました。
Integrative Analysis
Eastern Medicine Pattern
風痰阻絡(ふうたんそらく)
体内の余分な痰湿や滞りが経絡や神経の流れを塞いでしまう状態が強く出ている印象でした。わかりやすく言えば、神経や気血の通り道が"詰まったような状態"です。
Treatment
頭部や頸椎、耳周囲のバランスを整えるように調整を行ったところ、詰まっていた流れが抜けたように反応が変化し、その日のうちに自力歩行が可能となりました。
現在はその後も安定しており、お散歩を楽しめているとのことです。
Case Study Vol. 07
統合診療+ミネラル検査 — 気管虚脱と足腰の弱り
Background
気管虚脱と足腰の弱りを主訴に来院されました。初診時は、足が棒立ちのような状態で、手首や足首を含めたほとんどの関節の可動域が低下しており、「曲げにくい・伸ばしにくい」状態でした。かかりつけ病院では気管虚脱と診断され、手術を勧められていたとのことでした。
Assessment
姿勢の崩れは関節全体の動きに影響しますが、それだけでなく全身の柔軟性低下にもつながります。筋肉は複数の関節をまたいで付着しているため、一部分だけではなく、全体のバランスをみながら筋膜や筋肉の緊張を緩めていく必要があります。
Integrative Analysis
Eastern Medicine Constitution
陰虚(いんきょ)傾向
体の潤い不足や脱水傾向もみられました。潤い不足があると筋肉や関節周囲の組織が硬くなりやすく、可動域低下やこわばりにつながりやすくなります。
また、ミネラル検査Laboの解析では、トイプードルは電解質異常を起こしているケースが比較的多くみられます。電解質バランスは筋肉や神経の働き、脱水傾向、筋肉のこわばりなどにも関与するため、この子でも栄養面やミネラルバランスを含めた評価を重視しました。
Treatment
細かく状態を確認しながら治療を進めています。
高齢になると、単純な「関節だけ」の問題ではなく、
複数要因が重なっていることが少なくありません。
重なりやすい要因
大切な視点
長期間作用する薬剤は、高齢動物では特に慎重な判断が必要になる場合があります。もちろん必要なケースもありますが、メリットと負担の両方を考慮することが大切です。
統合診療では、西洋医学だけ、東洋医学だけ、自然療法だけ、ではなく、
その子の状態を総合的に見ながら、必要なものを組み合わせていきます。
症状が増え、薬も増えていく——そんな状況でお困りの方は、
まずは統合医療初診コンサルで、全体像を一緒に整理しませんか。
セカンドオピニオンとしてのご相談も歓迎しています。